T V JAPANと言う私が見ている有料チャンネル

TV JAPANと言う私が見ている有料チャンネルは、現在の日本のニュースやドラマ、バラエティ、サイエンス、医療など、すべて日本語で放送するチャンネルだ。アメリカに住むかなりの日本人が視聴しているそうである。

アメリカ国籍を取得して40年、ついに英語の読み書き、会話の三部門で会得習得の敗北宣言をした私は、ときどき喉の渇きを癒すようにこのチャンネルに回す。妙な後ろめたさを感じながら。

そこで見つけたのがBENTO EXPOと言う番組。その名の通り日本の🍱弁当に似たいろんな国の🍱ベントウが紹介される。サウジアラビア、ミャンマー、ウクライナ、アフリカ、イタリーなどなど。

lunch boxes for children in the form of monsters for Halloween

日本のキャラ弁に似て、カラフルな具材で、動物、文字、植物を小さく作りあるいは型でくり抜き、ランチボックスに詰めてある。日本の弁当のアイデアが世界に普及しこれらが作られたどうかは知らないが、首をひねりたくなるほどレベルが高い。

日本とは慣習、風俗、伝統様式も違う人たちが、花型の卵焼き、キュウリの蛇腹切り、ハムのクルクル巻に没頭している姿は想像しにくいが、それでも小さなおにぎりに海苔で目鼻をつけたり、だし巻き卵にグリーンピースを入れたりしてある。

お国柄の料理を押し出したベントウでない事は確かで、どこかの国ではおいしいと言う蜘蛛のから揚げ、孵化直前のゆでたアヒルの卵、犬肉の照り焼き、ゴキブリのフライなどは、さすがにない。

それでも番組の評判はあまり良くないらしく、コメントには「うざい」「不快」「出演者の喋りがうるさい」「打ち切りはいつですか」などと辛らつなものがある。なぜか、なるほどとうなずきたくなる。私自身おもったのは、番組自体が作りものめいて見えるのである。

娘が小学生の時、ガールスカウトのフィールドトリップで、ボートに乗ってクジラを見に行く日と言うのがあった。何となく思い付きでベントウを作ってあげた。ウインナーソーセージのタコの煮つけ、厚焼き玉子、サーモンの塩焼き、ごはんにはエンドウ豆を散らした。

どういう訳かこれが非常に評判が良かったらしく、娘がとても喜んでいた。ガールスカウトのリーダーには、「これを沢山つくってビーチで売れば儲かるわよ」とまで言われ、いやな気持になった。仕出し屋じゃあるまいし、アメリカ人の多いビーチで弁当が売れる訳がない。

今でこそ🍱ベントウと言う言葉はなじみ深くなったようだが、これは20年以上も前の話である。

それから娘にせがまれ学校のランチ用に二、三回作ったが、その度に学校から帰っても嬉しそうな顔をしない。聞くと弁当箱のふたを開けると中身がぐちゃぐちゃになり、形がくずれたりご飯がおかずの煮汁で茶色になったりでとても見かけが悪かったと言う。だれも褒めてくれなかったのだろう。それからは頼まなくなった。

だが不思議なのは、クジラ見学で作った弁当は何の支障もなく、学校のランチはなぜ失敗だったのだろう。どちらもまったく同じやり方で同じ弁当箱を使った。それにどちらの時も、弁当箱を振り回し中身をごちゃまぜにする事などしなかった筈だ。これは謎だ。

そう言えば高校二年の新学期に友人たちと三人、山登りに行く事になった。山登りと言ってもいわゆるロッククライミングではなく、丘に近い山を徒歩で鼻歌交じりに歩いたのだが、この日母がベントウを作ってくれた。

やがて丘の頂上に着き、私達はランチを食べるために丸くなって座った。面倒くさがり屋の母の思いがけない行為に私も嬉しかったのだろう。食べる前に「さてさて母の心づくしの弁当を食べる事にしましょうか」と口上らしきものを述べ、二人の前でふたを開けた。中は上を下への大混雑、弁当の中身を袋にひっくり返し4,5回宙で振り回したような状態になっていた。

P.S

最近はベントウのビン詰があるらしく、透明なビンの中に食材を互い違いに詰めふたをする。これだと食べる前に両手でビンを前後左右に振り回し、ごちゃ混ぜにして食べれば、きっとうまかろうおいしかろう。便利な世の中になったものだ。

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