『ざんげの値打ちもない』と言う歌が昔あったが、ざっくばらんに言って今の私の心境は、それである。薄っぺらな同情心とあわれみの心で一匹の子猫を不幸にしてしまった。
三週間ほど前の早朝、斜め向かいのコンドの塀の上に黒い子猫を見つけた。まぶしい朝の陽ざしにつややかな毛並みを見せ、無心に毛づくろいをしている。黒い猫だが胸と腹は白色、だが顔は真っ黒でいわゆるハチワレ猫ではない。黒い小さな頭をピコピコと動かし白い胸をつつくその姿は、なにやら黒い大きなヒヨコのようでもあり愛らしい。
暗くなるとコートヤードの芝生の上に降りて来て、じっとこちらを見ている。ふと見ると私の飼い猫も塀の上で、じっとあちらを見ている。身じろぎもせず二匹は見つめ合っている。外灯に照らされ見つめ合う猫達は一触即発の感あるいは望郷のイメージがあった。
猫の飼い主との立ち話で、名前はベラ、生後五か月の子猫、娘さんが友人から貰って来たと分かった。だが先住猫との折り合いが悪くベラは仲間はずれされ、ポーチで終日一人で過ごすと言う。もちろんポーチで寝る。
私の猫の名はララ、ララとベラ、何やら因縁のようなものを感じ私は二匹を引き合わせ、遊ばせる事にした。これが不幸のはじまりだった。
