わたしは猫 なまえはララ

わたしは猫、なまえはララ、こんな書き出しで可愛い猫のお話を書きたいと思うが、後が続かない。いくら頭をひねっても次の言葉が浮かばない。そうだ夢を見ようと思った。私の夢はとても実用的で、例えばトイレットペーパーがないと思っていると、その晩さっそく買い物に行く夢を見る。起きた時に現物が枕元にあるわけではないが、それがほっこりとしたヒントにもなる。猫のお話をと念じればヒントが浮かぶかも。だが夢に出てこない。『求めよさらば与えられん』と言う風にはいかない。そしてあっと思い当たった。私は無理に猫語で書こうとしていたのだ。人間の言葉で書けば良いのだ。よし、やって見よう。ララと言うのは私の飼い猫の名である。

*ララ   わたしは猫、なまえはララ、私の大好きな事は、パティオのテーブルに座って裏庭を見る事。大きな木の枝や草むら、芝生があってそれが光にゆれている。ときどき小鳥や蝶々、小虫がさっと飛んで来るからどきどきする。ジャンプして捕まえたいけどがまんする。ママが悲しむからだ。ひらひら飛んでる蝶々を見てたらベスがやって来た。

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*ママのコメント   外が薄暗くなったある晩、ララがばたばたと外から帰ってきて、口にくわえたすずめを私の前に置いた。「猫が生き物を持ってくるのは、贈り物のつもりだからほめてやれ」とネットにあった事を思い出し、その場はありがとうと頭をなでた。ララは何度も頭を私に打ちつけ、初めてのママへのプレゼントに興奮していた。だが二度目に持って来た時、鳥はまだ生きていた。さすがに胸が痛み「小鳥さんはお友達だから仲良くしなきゃだめよ」と言い鳥を逃がした。ララは不思議そうな顔をしていたが、それから二度と贈り物はしなくなった。

*ララ   ベスはわたしのお友達、近所に住む緑色の目をした黒い猫、いつも怒ったような顔、でも怒ってはいない。わたしはずいぶん前にやったけど、彼女はさいきん避妊手術をしたばかり、時々痛くて「ニャーニャー」と泣く。テーブルを降りて一緒に散歩に出かける。いつものように裏庭の右手にある小道を抜けて、大きな木のそばに二匹で寝ころぶ。ここからは走っている車が沢山見える。それが好き。でも決して通りには出ない、恐いから。ベスがすっと立って歩きだした。「どこ行くの?」と聞いたが何も言わない。彼女は通りと庭の境のところにしばらく立っていた。すると車が一台止まって、人間がさっと彼女をつかみ連れ去った。びっくりして大急ぎで家にかえり、ママがいつも少しだけ開けて置いてくれるパティオのドアから入って、キッチンにいたママに知らせた。「ニャーニャーニャー、にゃーっ!」でもママは「なあに」と言って後は知らんぷり。いつもの事だ。しかたなく私はパティオのテーブルに座って、じっと庭を見ていた。

11784565 - two kittens going for a walk together in the garden

*ママのコメント   ベスは隣家の猫、彼女は良くララに会いにパティオにやって来る。ベスが失踪してから隣家の夫人は、キチガイのようになって、ベスの猫探しの写真を街中に貼った。ベスと遊んでる姿などあまり見なかったが、とても愛していたのだ。「ララはベスの居場所など知らないでしょうね?」ある日裏庭で水まきをしていると彼女がやって来た。「さあー聞いてみてもいいけど」私もすっかり困った顔をした。まるで人間の子供の話をしているみたいで、二人でちょっと苦笑した。

lost cat

*ララ   ベスがいなくなってとてもさびしい。一緒にグルーミングした事、鼻キスした事、恐い目で見つめてくれた事を思い出す。木登りがうまくて良く上から私を見下ろしていた。時々草の中から小さなカエルを見つけ、逃がしてやっていた。勇敢で優しかったベス。パティオのテーブルに座ってベスを思い出していた。アイタイナー。「にゃー」と声が聞こえた。ベスがひょっこり草むらから出て来た。「にゃにゃにゃ」と、私はびっくりして走って近寄った。「どうしたの?」「逃げて来た」「どうやって?」「人間はバカだから簡単よ、散歩にいこう」「うん」私はベスの後をついて行った。彼女は私のママが苦手だから、会いたくないのかも。

*ママのコメント   ベスを連れ去った男性が彼女を戻しに来た。蒸発した自分の猫ととても似ていたそうだ。彼女は首輪をはめていなかったから心配していたが、幸運な猫は何をやっても幸運。ついでに言うと、ベスはララのいない所では私にとてもなついている。ヤキモチ焼きのララの事が良く分かっているのかも知れない。

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